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(Mdn1,Mdn2,Mandola,Cello,Gt.,Cb)23 min.

●初演
 ギターマンドリン合奏団"meets"第28回定期演奏会 

2009年、村上春樹がエルサレム賞(最も権威のある国際文学賞のひとつ)を受賞した。そのときの彼の受賞スピーチは「壁と卵」と題され、かけがえのない私たち個人「卵」と、それに立ちはだかる権力・仕組み「壁」の拮抗が語られた。「壁と卵」の問題は、大きくはガザの虐殺やホロコースト、身近なところでは会社や学校での人・制度との軋轢…と、誰でも直面する問題である。

その「壁」と「卵」の闘い、そして日常に満ちる不条理に思いを膨らませ、20分の音楽に仕立てた。

曲は5楽章形式で、3つの主楽章と2つの間奏曲で構成される。

1 -

マンドリンの奏でるライトモチーフに導かれ、チェロにより組曲全体のテーマがのびのびと歌われる。音楽は焦燥から清涼、混沌へと移ろい、哀愁を帯びたチェロのソロで曲は後ろ髪を引かれるように止む。

1.5-

マンドリンソロ4人とマンドラソロにより、取り残された1楽章のモチーフが残り香を醸す。

2-

おどけるピッキングと気ままなトレモロにより、風景は次から次へと色彩を変えていく。ラストでは、気まぐれなマンドリンソロに対して、ギターソリがロマンチックな返答をする。

2.5-

ギターの5連符のアルペジオとマンドリン属のトレモロが組み合わさり、時間がだんだんとスローになる。

3-

叩きつけるffのアクセントから始まる。破壊と束の間の平穏が交互に現れ、音楽は目まぐるしく展開していく。やがて楽章冒頭の再現へと繋がり、終結部に向けて一息に駆け抜ける。

※ギターマンドリン合奏団"meets"第28回定期演奏会パンフレットより転載(作曲者記)

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